複雑な進化力学系における種の豊富さのパターン

時田恵一郎(ハーバード大学進化力学プログラム、阪大サイバーメディアセンター、阪大院理、阪大院生命機能)

Physical Review Letters (米国物理学会論文誌レターセクション), 93 (2004) 178102. [Preprint (nlin.AO/0409033), Full text (APS Journals Online)]]
Selected for Virtual Journal of Biological Physics Research

複雑な生物ネットワークにおける、種の豊富さのパターン(Species abundance patterns: SAP)についての統計力学的な理論を示す。扱われたモデルは、群集形成の進化モデル(Tokita and Yasutomi, 2003)で現れた大規模な群集に対応し、多様な種間相互作用をもつ多種ロトカ・ボルテラ方程式と等価である。そのような、いわゆるレプリケーター方程式系に基づき、実際の多くの生態系において観察されるSAPが、単一のパラメータに依存して導かれた。個体数の分布(どれくらいの個体数を持つ種がどれくらいいるか)は、古典的に知られる「左に歪んだ対数正規分布」に近い形になり、SAPを再現するパラメータ領域において、いわゆる「正準仮説」も満たされることがわかった。扱われたモデルは、生態学以外でも使われる一般的な形式をもつので、導かれた結果は遺伝子発現などの他の複雑な生物ネットワークにおける同様の巨視的パターンへの応用も可能であると考えられる。


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