***絶滅と分化を起こす生態系モデルに創発する複雑で安定なネットワーク [#xa0e5d72]
 
 時田恵一郎(阪大サイバーメディアセンター、阪大院理、阪大院生命機能)、安冨歩(東大総合文化研究科)
 
 '''Theoretical Population Biology'''(理論群集生物学), ''63'' (2003) 131-146.
 '''Theoretical Population Biology'''(理論群集生物学), ''63'' (2003) 131-146.  [Preprint ([[nlin.AO/0210074:http://arXiv.org/abs/nlin/0210074]]),  Full text ([[Elsevier Science Direct:http://www.sciencedirect.com/science?_ob=IssueURL&_tockey=%23TOC%237156%232003%23999369997%23394766%23FLA%23Volume_63,_Issue_2,_Pages_63-170_(March_2003)&_auth=y&view=c&_acct=C000011799&_version=1&_urlVersion=0&_userid=143915&md5=edb4600383fafcd888d282d037161e74]])]
 
 
 絶滅、侵入および突然変異を取り入れ拡張したレプリケーター方程式を、種多様性の動態を表す最も簡単なモデルとして提案する。まず、1970年代のGardner-Ashby、Robert Mayらの先駆的な理論研究から始まった大自由度理論生態学の歴史を概説する。新しいモデルは、従来調べられてきたレプリケーター方程式系やそれと等価なロトカ・ボルテラ方程式系と全く異なる振舞いを示す。数値シミュレーションにより、以下のような系の特徴が明らかになった。
 
 
 
 -単一の種に対する種間相互作用に特異的に起こる突然変異を仮定すると複雑な生態系が進化しうる。複数のサンプルで平均した種数の増加曲線は、時間のベキ関数によくあてはまる。これ以外の(任意の種間関係を仮定する)従来の(ロトカ・ボルテラ方程式型の)進化モデルではそのような増大は見られない。
 -進化した巨大な生態系は侵入に対する安定性をもつ。
 -突然変異体の典型的な固定プロセスは、優占種よりもさらに高い適応度をもつ共生的な変異体グループの(超マルサス成長的な)急激な個体数成長で起こる。
 -進化は形質空間中でのランダムな拡散ではなく、(科-属-種のような)階層的な系統関係が現れる。
 -種の豊富さのパターン、すなわち種の個体数のランク−サイズ関係(個体数の分布関数と直接関係がある)は実際の生態系でよく観察される特徴的な曲線に従う。
 -レプリケーター系としての種間相互作用は対称行列へと進化する。このため系の全種共存解の安定性や多様性、さらには上記の種の豊富さのパターンに関して統計力学的な議論が可能である([[Tokita, 2004>KT_PRL_2004]])。
 -生態学的解釈は、対応するロトカ・ボルテラ方程式へ変換して考える必要があるが、その種間相互作用は、共生、競争、捕食・被捕食型の複雑な種間関係になっている。
 付録で、レプリケーター方程式とロトカ・ボルテラ方程式の関係について概説し、大自由度進化モデル研究のプラットフォームとしての新しいモデルの特徴について議論する。

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