相対的種生物量の統計力学

時田恵一郎(阪大サイバーメディアセンター、阪大院理、阪大院生命機能)

Ecological Informatics (生態情報学), 1 (2006) 315-324. [Preprint (q-bio/0607011), Full text (Elsevier Science Direct)]

  • 本論文は,第4回国際生態情報学(4th Conference of International Society for Ecological Informatics: ISEI4)会議録の採録論文である.
    Hierarchical interspecies interactions of 27-species random Lotka-Volterra equations
  • 複雑な生物ネットワークにおける、種生物量(Relative species abundance)についての統計力学的な理論(Tokita, 2004の本論文版).本論文においては,レプリカ法を用いた平均場方程式導出の詳細,および,大規模数値シミュレーションにより明らかになった安定なパーシステント群集がもつ種間相互作用の特徴,さらに理論がもたらす以下の生態学的予測に関する議論が加わっている.
  • 競争以外の種間関係をもつ群集についても,特徴的な種生物量が見出される可能性がある.
  • 共存種数が生産性パラメータpのべき関数になる.
  • 上記のベキ関係が成り立つなら,いわゆる種数面積関係が成り立つ.
  • 生産性パラメータpもしくは自己増殖率の平均が低い生態系は,共存種数が少なく,個体数分布は指数分布に近いものになる.逆にpが中程度の生態系では,共存種数が多く,個体数分布は左に歪んだ対数正規分布に近いものになる.
  • パラメータpは生態系の成熟の度合いに相関する.
  • 正準仮説が成り立つ.変数γはpと相関し,pと同様に生態系を特徴付ける巨視的な量になっている.
  • 安定な植物群集においては,より自己増殖率の高い種がより低い種を搾取し,その逆はない.自己増殖率の高い種同士は競争的であり,低い種同士は相利共生的な種間関係がドミナントである.
  • (右図)数値シミュレーションにより見出された,27種ランダム・ロトカ・ボルテラ系がもつ階層的な種間相互作用.パーシステントな群集を構成するのは全て内的自然増加率が正の生産者である.紺色の円盤が種を表し,半径は内的自然増加率の絶対値の対数に比例するよう描かれている.相互作用を表す直線が緑色の場合は相利共生(+,+),黄色は競争(-,-),青は内的自然増加率の大きなものの小さなものに対する搾取(+,-)を表す.その逆(赤)は見られない.一般に,対称なランダム種間相互作用をもつレプリケータ系のうち,安定なものはロトカ・ボルテラ系に変換すると,相互作用がここでみられるような階層性をもつことがわかった.このことは,群集の安定性と種間相互作用の階層性との関係を示している.

添付ファイル: filefig6b.gif 1243件 [詳細]

© Copyright 2013 Kei Tokita, Powered by Pukiwiki.  Last-modified: Sun, 23 Jun 2013 13:50:21 JST (2334d)   リロード   新規 編集 凍結 差分 添付 複製 改名   トップ 一覧 検索 最終更新 バックアップ   ヘルプ   最終更新のRSS